日記 PR

フェアアイルのスティーク(steek)とは?用語と手順を解説。

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

フェアアイルの英文パターンの翻訳のご依頼をいただきました。その際に出てきたスティーク(steek, steeking)という単語。フェアアイル教室に通っていたのはかなり昔だったので、改めて思い出しながらまとめてみました。

この記事では、スティークの基本から実際の手順まで、改めて勉強しなおした内容を解説します。

スティークとは?

フェアアイルは裾からずっと輪で編みます。セーターの開口部(例えば袖、Vネックの襟ぐり、カーディガンの前開きなど)を編むときは、本体の模様編みとは別に余分な目を編んでおきます。この余分な目を「スティーク(またはエキストラステッチ)」といいます。そして最後にスティークをカットして開口部を作るのです。つまり、編地を縦に切り開くわけです。この一連の技法のことを「スティーキング(steeking)」といいます。

フェアアイルは繊細な模様編みが特徴です。模様編みをしながら往復編みというのはちょっと大変ですよね。スティークを入れることでぐるぐると輪に編めるので、効率がいいというわけです。

糸を切るというのは、解けてしまわないか緊張しますが、フェアアイルで使用するシェットランドヤーンは繊維が絡み合って簡単には解けません。仕上げには水通しをするのですが、あえて40度ほどに温めた石鹸水の中でごしごしこすってフェルト化させます。こうすることで独特のふわっとした肌触りになり、編み目が固定されるというわけです。

steekを辞書で引くと次のように記載されていました。

【他動】
〈スコット〉閉める
【発音】stiːk、【カナ】スティーク

英辞郎 on the WEB


フェアアイルのふるさと、スコットランド英語ということで、元は閉めるという意味なんですね。現在では編み物用語としてしかほとんど使われないようです。

スティーキングの手順

1.スティークを編む

模様編みをしながら、あとでハサミで切る部分にスティークを編んでいきます。スティークは切り開く中心から左右に3~6目つくることが多いようです。また、スティークの部分が一目でわかるように、また解けてこないように、1目ごとの単純なストライプや市松模様のカラーワークになっていることが多いです。

基本的にはパターン内に指示されているはずなので、それに従います。プルオーバーをカーディガンにアレンジしたりする場合には、スティークの目を追加する必要があります。

ゆみ

スティークは奇数目の場合もありました。例えば、スティークが5目の場合は真ん中の3目目を後で切り開くことになります。

偶数目の場合は、表目と表目の間のシンカーループを切り開くことになります。

2.目を補強する

カットした後にほどけにくいように、スティークの目を補強します。この時、かぎ針を使う方法、縫い針とミシン糸を使う方法、そもそも補強しない方法など様々なようです。

こちらの動画では、かぎ針を使って目を補強しています。本当に様々な方法があるようなので、YouTubeなどで「steeking」と検索してみてください。

ゆみ

私が教室で習ったときは、目の補強はしませんでした。おそらく、さらに目を拾ってゴム編みの縁を編んだので、それが理由かもしれません。切りっぱなしの場合は補強した方がよさそうです。

3.スティークをカットする

先のとがった切れ味の良いハサミでカットしていきます。他の編地を切ってしまわないように十分注意します。カットする部分を左右に引っ張りながら、1本ずつ丁寧に糸を切っていきます。

4.スティークを裏側に折り返し、始末する

スティークはあくまで余分な目なので、裏側に折り返します。カーディガンの前立てや、ベストの袖口、Vネックの襟ぐりなどは、スティークと模様編みの間から目を拾っていきます。

ゆみ

切った後の糸端はというと、基本的にそのまま放置で良いようです。仕上げにフェルト化させることで、繊維が絡まってほどけません。

教室の先生は、現地のフェアアイルセーターの裏側を実際に見たそうですが、文字通り切りっぱなしだったそうです。

気になる場合は編地にかがっておけばOKです。その際は、2~3センチごとにクロスステッチの要領でかがるパターンをいくつか見たことがあります。

参考文献

スティークの詳しい説明は、こちらの本がおすすめです。日本語でここまで詳しく載っているものはあまり無いと思います。

こちらのサイトも参考にしました。

https://brooklyntweed.com/pages/steeking

https://www.interweave.com/article/knitting/beginners-guide-to-steeking//brooklyntweed.com/pages/steeking

まとめ

スティーキングは初めての方にとっては少し勇気がいる手法かもしれませんが、正しい手順で行えば、美しいフェアアイルのセーターが作成できます。ぜひこの手法に挑戦して、自分だけの素晴らしい作品を完成させてみてくださいね。

今回の発見で、私のフェアアイル熱が再燃しそうな予感ですが、シェットランドヤーンは庶民には結構いいお値段なんですよね(笑)。そのうち小物で編んでみたいです!